東京地方裁判所 昭和46年(借チ)1007号 決定
〔主文〕本件申立を棄却する。
〔理由〕一、本件申立の要旨
1 五十嵐某は、昭和十六年二月内田庄次郎から別紙目録記載の土地(以下「本件土地」という。)を非堅固建物所有の目的、期間二〇年の約束で賃借し、本件土地の上に別紙目録記載の現存建物を所有していた。
2 申立人は、昭和一九年三月一日右五十嵐から右建物および本件土地賃借権を譲受け、右賃貸借は、昭和三六年二月法定更新され、その後相手方が本件土地の賃貸人の地位を承継した。
3 申立人は、本件土地上に現存建物とは別に別紙目録の改築計画のとおり、木造二階建建物(1階26.83平方米、2階23.13平方米)を建築すべく計画中であるが、本件賃貸借において、増改築の際当事者合意のうえなす旨の約束が存するので、相手方の承諾を求めたが、えられないので右承諾に代わる許可の裁判を求める。
二 当裁判所の判断
本件で取調べた資料によれば、前記一の1、2の事実を認めることができ、したがつて申立人は本件土地の適法な賃借人である。
ところで、申立人は、本件土地上に現存建物とは別にその東側に別棟を新築しようとするのでその相当性を判断する。
前記資料によれば、つぎの事実を認めることができる。
1 本件土地は、各隣地との間を垣根等で画された一画の土地であつて、その西南部には一棟二戸建の現存建物が、北側部は、右現存建物の付属設備としての物置および物干場が存し、南西角にも同様な物置が存する。
2 現存建物の二戸はいずれも申立人において賃貸中であり、東側一戸は峰島紋次郎が期間の定めなく、賃料一か月金八、〇〇〇円で賃借中で峰島およびその息子らが居住している。
3 申立人が増築予定の部分は、間口約四米、奥行約九米の土地で、ここは、峰島が、二、三年前までは、自動車置場および修理場として使用してきたが、現在は植木等が植えられ、前記峰島の借家のため、庭および裏側への通路として使用されている。
4 借家人峰島は、右土地を自動車置場等に使用したいと希望しており、本件増築に反対している。
以上の事実が認められ、右事実をみると、申立人が増築予定の土地は、借家人がその借家契約に附随する敷地利用権に基づき占有中であり、これを申立人において利用するためには、その借家人の承諾を要するところ、前記峰島は申立人の増築に反対し、承諾を与えていないことが明らかである。そうだとすれば、申立人のなす増築は借家人の権利を害するもので、これを許可することは新たな紛争を生ずるもので、相当でない。
よつて、本件申立は、借地法八条の二、四項により棄却すべく、主文のとおり決定する。 (筧康生)
目録
(土地)
東京都板橋区常盤台三丁目三番地一七
宅地 225.22平方米(68.13坪)
(現在建物)
東京都板橋区常盤台三丁目三番地八
家屋番号 三番九
木造瓦葺平家建 居宅
71.07平方米
(増築計画)
現存建物の東側に別棟として、
木造二階建 居宅
1階 26.83平方米
2階 23.13平方米
を建築する。